突然だが「ここなら自分の人生で最後に過ごす場所にしてもいい」と思う場所はあるだろうか?
ほとんどの人はないと思う。

余程お年を召した方なら今住んでいる場所がそうなのかもな、とか思うのかもしれないが、それでも色々な理由で意外とあっさり引っ越したりもする。
意識しなければ「人生終焉の地はここがいい」なんてことは考えもしないだろう。
38歳の私もこれまではそうだった。

だが今回、初めて考えたのだ。
大袈裟かもしれないがそう思えるほどの景色に出会った。

三浦半島にある「ソレイユの丘」だ。

ここは園内のどこにいても富士山が見えると言っても過言ではない。

我々は物心が付いた時から、「富士山が見える」という現象に対して得も言われぬ喜びを感じるようになっていた。
それはやはり富士山がこの国の象徴的存在であり、何か大きな波動のようなものに守られている感覚なのだろうか。

とにかく、海と富士山の両方がここまで鮮明かつ雄大に見える場所というのは角度的にもなかなか無いはずである。
写真以上の景色だったのだが撮影技術の無さが悔しい…。

せめてこの空気だけでも肺に格納して持って帰りたい、と言わんばかりに深呼吸を何度かしてみたりもした。

↑強引に線を引いたような飛行機雲。
つくづく人類は「自然界にお邪魔している」のだと感じる。

ちなみに昨年フジロックに行った際、会場内を飛ぶ無数の赤トンボを見た時も同じことを思った。
イベントの前も、終わった後もトンボ達はあの場所を飛んでいるはずだ。
突然大挙して押し寄せる人間たちを見てどう思っただろう。

施設内には温浴施設があり確か21時まで営業しているのだが、先に遊園地が閉まる。
つまり営業終了した遊園地内を歩ける。これは意外と出来ない経験。
廃墟を歩いているようなほんのりとした緊張感が心地良い。

↑今回最も伝えたかった景色がこれなのだが全く伝わっていない。
というのも、角度的にベストなのは露天風呂からの眺めなのである。さすがに撮れず…。

静かな相模湾と悠然とそびえ立つ富士山。そして他の山々の間に沈みゆく夕日。
その全てが眼前で一度に確認可能なのだ。

この日は天気に恵まれていたおかげも大いにあったと思うが、穏やかで優しい自然のエネルギーを全身に浴び続けた結果、冒頭に書いたような思いが沸き上がってきた。

自分にとって今後そういった場所は増えるのかもしれないが、今回は人生初の感覚だ。
おそらく頻繁に足を運ぶ場所になるだろうと同時に、是非これを読んでいる貴方にもオススメしたい。

そして万が一、露天風呂で自然エネルギーを浴びている私と遭遇したら、こっそり耳元で「ですよねー」と囁いてみてほしい。
入口にある自販機のセブンティーンアイスくらいは奢りましょう。