大げさなタイトルを付けてみたが、とどのつまり「M-1を見た感想」である。
最初に書いておくが、お前何様?感満載な内容になっている。お笑い好きの無責任な書きなぐりだ。ご容赦願いたい。

まず最初に前回・前々回で書いた予想は全くもって外れた。
余裕で外れた。完膚なきまでに外れた。

まず敗者復活戦の感想だが、愛好している金属バットと男性ブランコは2位・3位といいところまで行ってくれた。
他のコンビの知名度なども考えるとこれは相当嬉しい。さすがお笑いファンは容赦ない。
キュウは出番トップということもあり順位は振るわなかったが、キュウワールド全開のルパンネタだったのでチョイスは良かったと思う。
3組とも今年はまだラストイヤーではない(金属バットは来年ラストイヤーの15年目)ので来年に期待。

そして、今はひたすらヨネダ2000のネタ動画を見ている。完全に中毒だ。
一気に魔法にかけられたような気分になる。
あとは就寝前にはさや香のネタ動画を見ている。「か!ら!あ!げ!4!」は深夜2時の脳にとって最高のジャンクフードだ。


さて、決勝の感想に移る。せっかくなので1組ずつさらっと書く。思ったまま書く。

①モグライダー
最高のトップバッターだったと思う。一気に会場の空気が分子レベルで笑いに変化した。
実は準決勝の配信では権利上の問題でネタのほとんどが音声カットされていたので、是非同じネタを決勝でもやってほしいと願っていた。
ネタの切り口が非常に面白いし、これはミュージシャンとして歌詞を書く際も趣深いテーマだ。
途中、台本なのかアドリブなのかすら分からなくような自然な掛け合いは中毒性を増幅させていく。
20分くらいやってほしいネタ。

②ランジャタイ
ほら言ったとおりだ。マヂカルラブリーの立ち位置を担うのは彼らだと。
むしろもっとメチャクチャだった。記憶が確かなら、あれは昨年の準決勝でやったネタだったはず。
審査員の上沼氏の表情と点数を見て「ランジャタイの笑いは間違っていない!」と確信した。
富澤氏の「お前ら決勝だぞ!」という一言も同じ事務所の先輩だからこそ言えた最高の誉め言葉だったように思う。どうかそのまま行ってくれランジャタイ。

③ゆにばーす
トップ2組が変化球だったため、彼らの正統派ぶりがさらに際立ったように思う。
私は少なくとも月1回は劇場に足を運んでお笑いライブを楽しんでいるのだが、ゆにばーすは最近では自分が見に行く時は毎回あのディベートネタをやっていた。
「これは決勝用に仕上げているに違いない…」と思っていたがやはりそうだった。
ゆにばーすらしさもある素晴らしいネタだと思うのだが、今月上旬に見た際に川瀬名人の力み方が気になった。
M-1では全ての笑いを一撃一撃確実にヒットさせたいと思うのだが、ツッコミが聞き取れないほど熱量が上がってしまっている瞬間が決勝でも何度かあった。
序盤の熱量を少し下げるとさらに点数はハネたのではないかと無責任に思っているが、あのネタが素晴らしいことに変わりはない。

④ハライチ
ラストイヤー。
M-1に挑むという感覚ではなく、M-1で自分たちらしくどう遊ぶかの域に行っている。
肩の力は完全に抜けているし、何なら台本を用意せずに準備なしで出ていっても面白いことが出来たのではないかとさえ思う。達人の領域。

⑤真空ジェシカ
彼らのネタをあの場で見られたことが幸せだった。テッパンの1日市長ネタ。
5秒秘書と2進法のくだりはやはり最高だ。
「亀の甲羅のヒビの入り方で行政の方針を決定してもらいます」「いや、民主主義とか便利ですよ」というくだりはカットされていて残念。
ギリギリ理解できなさそうなレベルの笑いが脳のどこかをくすぐってきて、まるで悪いことをしているような何とも言えぬ高揚感に襲われる。今後も確実に追いかけていくコンビ。

⑥オズワルド
気合いの伝わり方がハンパじゃない。確実に優勝しに来ている。
世界観は独特だが間違いなく正統派の漫才。熱量も力みすぎず心地良い。
確実に笑いが一撃ずつ客席を仕留めていく。
初期M-1(2001~2010)だったら彼らはどれくらい評価されていただろうか?というほどにTHE東京の漫才。
時代は変わった。お笑い以外もそうなっているが2020年代はボーダーレスの時代だ。
オズワルドのようなコンビは間違いなく新時代のスタンダードになりつつある。

⑦ロングコートダディ
大好きなコンビだが、正直ここまで上位に食い込むと思っていなかったのが本音。
ネタのスピード感やボケ数、そして彼らのお世辞にも派手とは言いづらいキャラクターを鑑みて、賞レースは難しいと思っていた。
決勝でのネタも、序盤の「えっ…肉うどん!?」のくだりがハマらなければ、そのあとずっと地獄の空気になる可能性があるほど危険度の高いチョイス。
あの部分はつかみと同時に山場でもある超超重要なセクション。
結果的にめちゃくちゃウケていたので、そこから先も安心して見られた。
ネタ書き担当の堂前氏は「座王」での活躍ぶりでも見て取れるように完全に職人タイプ。私は笑いでも音楽においても職人が好きだ。
彼らのテレビへの露出が増えることを強く願う。

⑧錦鯉
祝・優勝!
一言で言うならズルい。ズルすぎる。あんなの反則だ。
キャラクターが強すぎるあの2人でしか出来ないネタ。これが観客にハマるともう無敵。
演技力とかそんなもので実力を測るのが野暮になる。最終的にはただ喋っているだけでもう面白いという状態へ。
そして「存在=漫才」という等式が成立した瞬間に、他の公式は無力化する。
そう、成立してしまったのだ。
最終決戦で何度となく繰り返されていた「あれっ!?バナナがある!」のくだりで笑わない人間などいるのか?
最後の涙までひっくるめて全てがズルい。完全に心を持っていかれた。

⑨インディアンス
本命中の本命。私は彼らが優勝すると思っていた。
スピード感・ボケ数・ネタの本筋から離れすぎない田渕氏のボケ・きむ氏のツッコミの温度感など全てにおいて完璧。早口だが台詞が全てしっかり聞き取れる。
これで優勝できなければもういい、と思うレベルにまで洗練されていたのではないかと勝手に思う。
来年も確実に準決勝・決勝には食い込んでくると思うので、更なる進化を楽しみにしたい。

⑩もも
芸歴4年目らしい。おそろしや。おもしろや。
スピード感・緩急・ボケ数・キャッチーなワードと、M-1優勝に必要な要素がたっぷり含まれているネタ。そこへご本人たちの技術力も手伝って、相当レベルの高い漫才が繰り広げられていた。
M-1直後から他の芸人たちの配信などで「〇〇顔やろ!」というボケが何度か見受けられた。
流行りそうなワードを連発させるのはミルクボーイのコーンフレークしかり、M-1優勝において定石だと思っていたが、そこを見事に突いてきたなと感じた。
審査員松本氏の言った「3年後優勝顔」はまさに言い得て妙だ。今後が楽しみである。


以上。全てのコンビに拍手喝采!